誰もがやったことのある走幅跳。簡単そうに見えて実は難しい。

これだけおさえてけば13秒台だとしてもも6mくらいは跳べるはず。


①助走
幅跳びは速さを競うのではなく跳んだ距離を競います。そのため助走の中間がどんなに速くても踏切の瞬間のスピードが遅ければあんまり意味ありません。トップ選手でも100mの95%くらいのスピードで助走すると言われていますので、部活レベルであればもっと遅くなるはずです。
この落ち幅をどれだけ少なくできるかどうかが幅跳びの助走の基本です。では、何を気にすればいいのか。


・助走後半では必ず歩幅調整が起こる
幅跳びは必ず踏切板(より手前)から踏切るルールになっています。そのため、何本跳んでも助走距離を変えなければどの跳躍も歩数は一緒になるはずです。これが厄介で、100mのように走ると後半で歩幅を調整する必要が出てきてしまいます。これは意識していなくても起こります。言葉だとよくわからないので図です。
無題
踏切りでぴったり足があった場合です。幅跳びの助走では多かれ少なかれこういう風になっています。このズレが少ない人ほど助走が安定していて上手いと言われます。
スタートして、スピードが上がるとだんだんズレの量が蓄積されて増えて行き、この場合はラスト4歩で急激に踏切板に足を合わせたっていうことです。踏切りでズレの量は0になります。
もし30歩の助走で1歩につき1センチずれると最後では30センチも足があわなくなり、足をあわせれば当然スピードは落ちてしまいます。なので、助走局面ではスピードを上げることと同じくらい、助走を安定させることが大切です。また、ズレの修正が必要なければ踏切準備にも余裕ができます。
このことを前提にして助走を考えると上手くいくはずです。

・ストライドを一定にする
幅跳びの選手ってやたら大股で助走してると思いませんか?あれはわざとそういう走り方してるんです。左がストライドの伸ばし方、右がピッチの上げ方の図です。
無題2
普通に100mのようにダッシュをすると、ピッチとストライドは距離が伸びるのに伴って伸びて行くのですが、幅跳びではストライドを一定にしてピッチを上げることでスピードを上げるようにします(ストライド×ピッチ=スピード)。
スタートしたら序盤でストライドを安定させて、中盤からはピッチのコントロールでスピードを上げる感じです。リズムアップとも呼ばれます。
トップスピードの瞬間では100mの走りとほとんど変わらないないのですが、走り出しではピッチが遅いのにストライドが大きいため、見た目としては大股走のように見えます。
こうすることによって助走のズレを抑え、安定した助走が出来ます。

あと、助走では後ろから見て足の裏が見えないように意識します。前から見て足の裏が見えるようにでもいいです。これによってつま先が下がらなくなるので安定した力強い助走が可能になります。
(つまさきが下がるとふくらはぎの小さい筋肉を使ってしまうからブレる)


②踏切り
走ってきたら踏切ります。踏切り準備動作もこの踏切りに含めて考えてみます。

・踏切り準備をする
幅跳びをやるとターンタターンで踏み切れと言われます。これが踏切り準備動作です。
具体的には、踏切り2歩前のストライドを伸ばしてそのぶん1歩前を短くするということですが、わかりにくいです。
無題3
踏切り前にターンとすることによって重心がさがり、タターンで一気に持ち上がるため、高い跳躍が可能になります。階段を駆け上がるイメージで踏み切るとか言うのも要するにこのタターンです。
あんまり極端にやるとスピードが落ち過ぎますが、これができるかどうかで跳躍の高さが全然違いますので、最初はやりすぎくらいにやって浮き上がる感覚を覚えましょう。
『潰れた跳躍』というのはだいたいこれができずに重心が持ち上がらないパターンが多い。

・膝を伸ばして踏み切る
コツです。踏切りに入るときに踏切り足の膝が曲がっているとつぶれます。膝を伸ばした状態で踏切りに入りましょう。つま先は上げてください。
無題4
①は膝が曲がっていて②は膝を伸ばして踏切りに入っています。何が良いかというと、伸脚バネをがどうこうなんですが、膝を伸ばすとクッションによるロスがなくなるんだと思っていれば大丈夫です。すごく跳べるようになります。
また、かかとから接地して踏切るようにすると自然と膝が伸びます。

・強く踏み切りすぎない
一瞬の踏切りでも前・中・後にわけて考えることができます。踏切り準備と膝が出来ていればあんまり考えなくてもいいですが、行き詰ったときは試してみると良いかも。
踏切り前半(接地)で強く叩きすぎると、中盤で上手く力が加えられずに弱い踏切になってしまいます。ダメな典型としては、叩くような踏切りです。
無題5
なんのことだかわからなければ飛ばしていいです。踏切りの力には2つのピークがあって、1つの目のピークは足が地面についた瞬間、2つ目のピークは筋肉・腱が動いて地面に力を加えた瞬間です。実際の跳躍では、2つ目のピークによって体を上に持ち上げます。また、1つ目のピークが強すぎると逆に2つ目のピークが低くなってしまいます。踏切りを力強くしようとして叩いてしまうとかえって弱い踏切りになってしまうと言う事です。これが『踏切り板を叩く』という悪い状態です。
要するに、1のピークを低く抑えるためにスムーズに踏切りに入った方がいい。
で、離地の瞬間までしっかり地面を押し切るようにするといいです。

・踏切りは最後まで押し切る
幅跳びは空中動作があるので、踏切り終盤から空中動作を意識しすぎて足を巻いちゃう人がいます。巻くのが早すぎると踏切り後半で力を加えられなくなり、低い跳躍になります。しっかり押しきれていれば高い跳躍が可能。また、ブロック動作は足を巻いていると十分にできません。
無題7



・空中動作は後回し
走ってきて踏み切ったらあとは跳んでいくだけです。6m50くらい跳べるようになったら空中動作も必要になってきますのでyoutubeでも見てダブルシザースを身につけましょう。
6mとかの場合は空中動作がどんなにうまくてもたぶん20センチくらいしか変わらないと思います。5m50しか跳べないならどんなに空中動作を練習しても5m70です。6mの壁にぶち当たってるうちに高校卒業です。もっと他にやるべきことがあったでしょう。
幅跳びで大事なのは入ってきて踏み切るまで。あとはどんなに頑張ってもそんなに変わりませんので、その時間を踏切り練習に費やしましょう。




③跳躍全般
・プライオメトリックスを覚えておこう
動きには2種類あって、アイソメトリックスプライオメトリックスです。なんだそりゃ。
アイソ(変わらない)メトリックス(長さ)と、プライオ(もっと)メトリックス(長さ)です。
アイソメトリックスというのは筋肉の長さを変えずに力を出す事。体幹トレーニングとか重いものを持つとかです。陸上ではあんまり使わない。
プライオメトリックスというのは、瞬間的に伸ばされた筋肉や腱が強い力で収縮するときに大きな力を出すような運動です。陸上の動きはだいたいこれ。伸脚バネとも言われ、基本的に腱の反射だと思っていいと思います。いわゆるバネ。

例えば、連続ジャンプするときには一回一回膝を曲げてパワーをためて跳ぶよりも、膝を伸ばしたままでボールのようにポーンポーンポーンと弾むほうが楽だと思います。これがプライオメトリックス(伸脚バネ)です。一説には、バネ(腱)の力は筋肉の力よりも16倍あると言われています。
幅跳びの踏切りもこの伸脚バネを使うようにしましょう。わからなければハードルジャンプでもしてコツをつかみましょう。

・起こし回転を知っておこう
跳躍では起こし回転という力がかかります。これは、踏切りによって足にはブレーキがかかるのに頭は慣性で前に進もうとすることによって起こる回転の事です。
実際は踏切りで空中に飛びだしているので、跳んだあとに空中で頭が前の方に回ってくる現象になります。一見すると悪い事のように見えるんですが、この回転が起こるということはちゃんと踏みきれているとも取れます。
無題6
この動きはもう物理的なものなので消すことはできません。空中動作でうまくごまかしましょう。